シュタイナーは「すべてのオイリュトミーの素材がなくなっても、オイリュトミーフィギュアだけは残したい」と語ったそうです。それほどオイリュトミーフィギュアは価値あるものなのです。

1920年の始めに言葉の響き(Laut)をどの様にフィギュアにするかの試みが始まりました。彫塑家のエディット・マリオンがその共同作業に加わり、本来の平面のオイリュトミーフィギュアに至る前にまず彫塑による三次元的なフィギュアを試みました。その後シュタイナーは本来のオイリュトミーフィギュアのために、線描画の草案を書きました。そこには三つの要素が示されていたのです。
1動き(Bewegung)の色として服
2 感情(Gefuhl) の色としてシュライアー
3キャラクター(Charakter)(筋肉の緊張)フィギュアのふさわしい部位に色付けられる
この草案をもとにそれぞれの響きが、人間の形に切り取った木の平面に作られました。響きの本質を表現するためには、立体的ではなく平面的にフィギュアを形作ることが必要だったのです。
伝統あるオイリュトミー学校では、練習ホールの壁にフィギュアが35体飾られています。(内訳:母音が5体、子音が15体、魂の所作が13体、長調と短調が2体)

木を薄く切りそれぞれの響きにそって形作られ、衣装、シュライアー、筋肉を響かせるところに分けて三色の色が塗られています。そこには一つ一つの響きがいったいどのような動きや色合いを持ち、それをいかに人間の体を通して見える様にするのかが提示されているのです。
現在は木製のフィギュアに代わり、紙に印刷されたものが出回っています。最初はオイリュトミストのアンネマリー・ベッシュリンがA4ほどの紙に一枚一枚描いたものが公にされました。彼女はかつて画家でもありました。シュタイナーが提示した色合いを出すのにとても苦労した様です。その後様々な形で出版されています。そのため誰でも手元に置ける様になりました。
しかしやはり木製のフィギュアは背景の木の色と混ざり合いマイルドな色合いが出され、また一体ごとに存在感があります。今では一体が7000円前後はするでしょうか。全部揃えるには高嶺の花になってしまいました。

藤井馨子
プロフィール
ミュンヘン・オイリュトミー学校卒業(1990年)
その後ドルナッハ・ゲーテアヌムで舞台活動の研鑽をする。
帰国後東京在住。幼稚園など子供から大人まで講座を各地で行い、定期的に舞台公演を行う。 オイリュトミー療法士資格取得(2012年)。
2019年〜24年北海道ひびきの村オイリュトミートレーニングコース教師会メンバー。
‘24年夏8人のコース受講生がオイリュトミストの免許をゲーテアヌムから取得。
同年に、にもオーケストラ公演に参加。現在、東京国分寺にあるルドルフシュタイナー芸術アカデミー/アウラ主宰。
個人を対象としたオイリュトミー療法、また健康オイリュトミー講座、オイリュトミー芸術クラスを定期的に行っている。