コラムvol.9「昼と夜のバイオグラフィーをつなぐHalleluiah(ハレルヤ)」

私たちはこの地上に生まれ、そしてこの地上を去っていきます。去ることを他界するとも言います。他の世界へ行くこと。仏教的な世界観では、死んだら終わりではないことは示唆されています。誕生から死までの人生を昼のバイオグラフィーと呼び、死後の旅路を経てまた地上にもどるまでを夜のバイオグラフィーと呼びます。
それは大きな巡る円環のようであり、双方があって、「私=自我」が成長していく旅路があるのです。

私がオイリュトミー療法の実習をしていたドイツの病院では、新たな誕生を迎える病棟があれば、終末期医療の現場もあり、祭壇と安置室もありました。生と死が行きかう場所で、病と向き合う人々、新たな命を喜ぶ人々があり、スタッフは喜びや悲しみ、苦悩と励まし、愛と慈しみをもってそれぞれの人生のステージにいる人々に寄り添っていました。

その実習先でコーマ状態の患者さんに私ができたのは、足を温かく触り、側でハレルヤのオイリュトミーをすることでした。人生のどんなステージにおいても、オイリュトミーは助けになる、どんなあり方でもオイリュトミーは寄り添うことができるとその時思いました。あちらの世界に向けても可能であるのだと。

あれから14年たち、家族の殆どと、多くのかけがえのない先達や仲間を天界に見送りました。普通の病室でも、自宅でも、集会の場でも、旅立とうとしている人に、そして天界人となって旅を始めた人にハレルヤを捧げました。

オイリュトミーのハレルヤは、自らを健康にする力も、自らを浄化し本来の故郷である霊界へつなぐ力も、場を祝福し癒す力も、そして地上に生きる人と天界に生きる人々をつなぐ力もあるように確信しています。
私たちの昼と夜の人生=バイオグラフィーを通して寄り添う力でありますように。

*ハレルヤ
最も高みにある存在が私を視ようとするその眼差しを遮るものから私を浄化するという意味であるとシュタイナーは語っている

樋原裕子
プロフィール
オイリュトミー療法士、バイオグラフィーワーカー。
現在主にシュタイナー学校でオイリュトミー療法など子どもの支援を、バイオグラフィーワークジャパンの講師としてバイオグラフィーワークの養成コースを行っている。
ドイツ・ミュンヘンのオイリュトミー学校でオイリュトミーを、スイス・ドルナッハの オイリュトミー療法士養成コースでオイリュトミー療法を学ぶ。
現在主にシュタイナー学校やクリニックでオイリュトミー療法など子どもの支援を、バイオグラフィーワークジャパンの講師としてバイオグラフィーワークの養成コースを行っている。 
 ▶ひかりのつぼみ自由クリニック
 ▶バイオグラフィーワーク・ジャパン 

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